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大阪高等裁判所 昭和24年(を)2455号 判決

被告人

姜大玉

主文

原判決を破棄する。

本件を神戸地方裁判所に移送する。

理由

前略

第一点及第四点について

酒税法違反事件に於いては收税官吏、財務局長又は税務署長の告発は公訴提起の形式的訴訟條件であると解すべきところ、本件について柏原税務署長の昭和二十四年二月十一日附告発書には被告人は昭和二十四年二月日不詳麦麹麦水を原料として本桶に仕込み、酒精醗酵せしめて濁酒(アルコール分ビール位)を製造し之を蒸餾機に一回に約四斗入れて約一斗の燒酎を製造し居たるもの云々関係書類添附告発する」と記載しその添附の差押目録中一覽表によれば濁酒三石同六石同一石四斗同一石四斗とあるから之を綜合すれば第一の無免許酒類の製造については適法な告発があつたものと、認められる。しかし本件第二の無免許麹の製造について前記告発者には單にその末尾に「但差押物件は(中略)麹箱(十三個)及容在の麹二斗六升は保管証により氷土地区警察署に引継ぐ」とのみ記載し告発の有無不明なるにかゝわらず、原審はこの点に関し審理をつくさないのみか原審において弁護人は麹の無免許製造に関する酒税法第十六條但書所定の除外例を主張しているのであつてこの除外例は刑事訴訟法第三百三十五條第二項に所謂法律上犯罪の成立を妨げる理由と解すべきであるから之につき何等の判断を示さない原判決は理由不備の違法ありと云うべく原判決のこの部分は破棄を免れない。

以下省略

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